経営とビジネスの現場で、日本人の「思考」と「行動」に変化を起こす!「マネジメント実務」に変化を起こす!

コラム

外国人リーダーの下で仕事をするときの2つの行動課題

世界で活躍する日本人リーダーの現場行動
~思考と行動をアップグレードする~

第52回
7、8年ほど前から、20歳代半ば~30歳代前半の若手社員が1~2年の海外実務研修員、あるいは駐在員として、海外に赴任するケースが増えてきています。若手社員に入社後の早い段階で多文化社会を経験させ、グローバル人材としての素養を磨く機会を与えることは、今後日本企業が世界でサバイバルしていくための必須条件といえます。
 特に英語圏に赴任する場合、このような若手社員は現地採用の外国人上司やリーダーの下で働くことが多くなります。しかし日本人と外国人の行動原理の違いに直面し、外国人上司やリーダーの行動に違和感を抱くことが多くなるようです。これは日本人の若手社員から受ける相談内容の一例です。
「知らないうちに、すでに決まったことを外国人リーダーが突然変更するんです。メールを見て気づきました」「外国人リーダーって独裁的なのでしょうか? トップダウンとはこういうことなのでしょうか」……
 組織の中で働いている場合、よほどの“独裁者”でない限り、一人で物事を決める人は少ないです。リーダーであっても何かを決めるときは一人の人間として不安を抱えるのが自然です。そのため、キーメンバーに「声をかけ」、自分の考えや結論について相談、議論したうえで最終判断することが普通です。
この相談内容における問題点は、〈日本人メンバーに声がかからないことがよくある〉ということなのです。では、外国人上司やリーダーから声がかかるための行動課題は何でしょうか。

行動課題①「スパイ化」しない
日本人メンバーが、外国人リーダーとの間にレポート関係があるにも関わらず、日本本社を向いて仕事をして「スパイ化」してしまうことがよくあります。
具体的には、外国人リーダーが日本本社から反対されそうな案を敢えて日本人メンバーに相談してみると、それがリーダーの強い意向であるかのように本社に伝わり、本社から先に牽制を受けてしまう、またはネガティブな印象を持たれてしまうことがあるのです。このようなケースを数回経験すると当然、外国人リーダーは日本人メンバーへの不信感を強め、声をかけることを控えるようになります。本社側が日本人メンバーにこのような行動をとることを期待している場合も案外多いのですが、これは彼らの貴重な時間を無駄にしてしまい、グローバル人材育成の点では明らかに逆効果です。

行動課題② チーム内で「価値がある存在」になる
外国人リーダーにとって日本人メンバーが、「声をかけて相談、議論する価値の低い存在」になってしまっていることが多いのです。このような日本人メンバーは日常的な議論の場でニコニコしながら黙っているか、言葉足らずであいまいな表現に終始し、自分の意見を明快に主張していないのです。また、YESかNOかを求められ、とりあえず「YES」と言ったものの、その後、陰で否定的な行動をとっていることも多いです。
 実際のところ、外国人リーダーにとって「価値がある存在」とは、より明快な論理やより強い根拠でリーダーの結論をサポートし、賛成してくれそうな人や、説得性の高い論理で敢えて反対、牽制し、異なる視点を与えてくれそうな人なのです。
日本人リーダーも何かを決めるとき、“同調し賛同してくれそうな”信頼できるキーメンバーに声をかけますが、相談して判断を固めた後、全メンバーに声をかけて事務的に確認をとっているだけなのです。日本人リーダーの下では、メンバーとして黙って状況を静観していても、日本人リーダーが「気を配って」メンバー全員に声をかけてくれることが多いのです。しかし、外国人リーダーの下では通常、自ら発信し行動し「存在」をアピールすることでリーダーにとって「価値ある存在」になることが大切なのです。
若くして外国人リーダーの下で仕事をする機会を与えられた日本人は、スイッチを切り替えて自分の意見を明確に、論理的に表現する習慣を身につけ、大きく成長してほしいものです。そのためには日頃、自分の考えや意見を約200字から400字程度で言い切る練習をすることが大切です。具体的な手段としてはノートやパソコンを使って「書く」、あるいは、ICレコーダーに録音するなどの方法がお勧め。さらに内容をその都度、英語に翻訳する練習をすると、英語の上達にも大変役立ちます。

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