経営とビジネスの現場で、日本人の「思考」と「行動」に変化を起こす!「マネジメント実務」に変化を起こす!

コラム

自分の「考え」や「意見」を表現する

世界で活躍する日本人リーダーの現場行動
~思考と行動をアップグレードする~

第53回
「尖っている」人材V.S.
「平均的な」人材
売れる商品やサービスに「特徴」と「競争力」が欠かせないのと同様、“売れる人材”にも、「特徴」と「実力」がなければなりません。
日本の組織の中で「あの人は尖っている」という表現は、どちらかといえば良い意味で使われています。個性が強く、主義主張がはっきりしているという「特徴」があり、しかも社内で一目置かれている人を「尖っている」と表現しています。一方、「特徴」は同じでも、社内で一目置かれていない人は、「変人」「アウトロー」などと呼ばれます。社内で一目置かれるか置かれないかは紙一重。本人の要領の良し悪しや運にもよります。ただ、このような人材は、どちらのタイプでも“市場で売れる可能性“が高いのです。
しかし、残念なことに日本企業では、このような人材の絶対数がまだまだ少ないと言わざるをえません。日本企業で働く多くのビジネスパーソンは、同質度の高い環境の中で、結果的に頭ひとつ抜け出すリスクをとらず、自分を「平均化」させてしまっているのが実態といえます。

質問に強くなる
一方海外では、日本人が「尖っている人」「変人」「アウトロー」と感じる人材の絶対数が、大変多いです。彼らは個人としての「考え」や「意見」がはっきりしています。
外国人社会は異質度が高く、そもそも互いに理解し合うことが難しいため、少しでも互いを正しく理解するための質問が日常的に、頻繁に交わされます。そして必然的に「理由や根拠の説明を求める質問」が多くなります。
しかし日本人はこのような質問に不慣れであるため、自信をもって論理的に、率直に答えることが苦手です。答えに窮して「難しい質問ですね・・・」と言って照れ笑いする姿、あるいは焦りから、質問とは関係ないことを支離滅裂に答える姿がよく見られます。
さらに日本人は、組織の中で自らこのような質問をすることが少ないです。考えられる理由は3つあります。1つ目は、同じような「考え」や「意見」が多いためそもそも疑問を感じることが少ないこと。2つ目に、相手のメッセージを勝手に解釈して自分の「考え」や「意見」と同化させてしまうこと。3つ目は、自分の能力を疑われるかもしれないという不安――こうした理由から、会話が表面的にさらりと流れてしまい、結果として、互いの理解が深まりにくくなるリスクを恒常的に抱えることになってしまうのです。
居酒屋でお酒の勢いを借りて互いにいつもより一歩踏み込んで質問し合い、「今日の話は深い!」と感じたときは、まさに互いの「考え」や「意見」を率直に表現し合えた「瞬間」なのです。

自分で深く考える
日本の組織で働く日本人は一般的に、周囲と同じような考え方で、同じような行動をとっている方が、集団の中に自分の居場所を確保できて心地よいと感じるため、自分の「考え」や「意見」を持つことを躊躇する傾向があります。また仮に持っていても、それを表現することにはためらいがちです。あるいは表現するとき、他人の発言内容やメディアの発信内容をそのまま「コピペ」し、いざというときの「逃げ道」を作る場合が少なくありません。
大勢に身を置くことや意見の横流しは、明らかに人の思考を浅くします。〈社会や組織の構造、利害関係などを視界に入れて自分の頭で深く考える〉というステップが抜けてしまうからです。社会、組織、人間関係の問題にはそれを引き起こしている数々の事実があります。そして、その事実が起きる理由があります。これについて自分で仮説を立て、自分で調べて検証することが、独自の見方や持論を持つうえで大切なのです。
「考え」や「意見」に正解はありません。世界では、自分の「考え」や「意見」でどれだけ多くの人を納得させることができるか、どれだけ多くの人の共感を得ることができるかが勝負となります。
外国人と仕事をするときは、周囲の目を過度に気にせず、自分の「考え」と「意見」をもつことが大切です。その内容を「独り言で表現する」、あるいは「書きとめる」ことを習慣にすると、必ず自信に繋がります。また外国人に質問されても躊躇せず、「よくぞ聞いていてくれました!」と、ポジティブな気持ちで明確に表現できるようになります。

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