経営とビジネスの現場で、日本人の「思考」と「行動」に変化を起こす!「マネジメント実務」に変化を起こす!

コラム

外国人とのコミュニケーション3原則

世界で活躍する日本人リーダーの現場行動
~思考と行動をアップグレードする~

第44回
外国人とのコミュニケーション3原則

日本の大企業では、諸外国の企業と異なり、終身雇用的慣行が一般的です。この慣行の下では、同じグループ組織の中で「定年まで共に働く」ことが前提ですので、人間関係が悪くならないよう互いに気を遣うあまり、率直に表現する習慣が薄れてしまいます。
さらに、日本の組織は「空気」に支配される傾向があり、通常、会議の場で日本人は自分の意見を率直に表現せず、むしろ、「空気」を読んでそれを「適切に」呑み込む行動を取りがちです。その結果、多くの日本人は自己表現する機会が少なくなり、日本語の語彙や表現のバリエーションを無意識のうちに失っていく傾向があります。
今後、世界の舞台で外国人と「誤解」や「軋轢」少なく仕事をするための最重要課題は何か? その答えは、「表現する力」を磨くことでしょう。ずば抜けた英語力や外国語の能力がある人以外の脳は原則、日本語脳です。そのため、日本語で表現できること以上のことを外国語で表現することは至難の業なのです。つまり、日本語脳で「表現する力」を磨くことが大切なのです。そのためのポイントを3つ紹介します。

1.メッセージに内容や情報を多く盛り込む
同質性の高い日本人社会では「お互いに理解し合えて当然」という前提があり、日本企業で働く社員の間にはたくさんの暗黙知もあるため、共通のコンテクスト(=文脈)が多くなります。そのため、互いにとって既知の情報と推察される内容は省略され、結果的にメッセージは短くなり、使う言葉の抽象度も上がります。このような言葉を外国人が聞くと、言葉自体は理解できても、その言葉が「意味する内容」や「言外に含まれること」までは必ずしも正しく理解できるとは限りません。
 他方、海外では「お互いが理解し合えなくて当然」という前提に変わります。従って、外国人に正しく理解してもらうためには、内容や情報、つまり、発信量を増やす必要があるのです。そのためには、意味が限定された具体的な日本語が必要になりますし、当然のことながら、同じことを日本人に話すときと比べて、話は長くなります。

2.メッセージの論理と構成を明確にする
 日本人同士のコミュニケーションは、互いに理解し合えるという前提のもと、一般的に緊張感が低くなります。その結果、日本人が会社組織で日常的に使っている日本語は、言葉や論理の点でかなり「乱れて」しまいます。具体的には、通訳の外国人が学ぶ日本語とは似て非なる言語であり、メッセージも通訳・翻訳しにくいものになっていることが多いのです。さらに、相手に気を遣い過ぎると、言葉や論理が“緩み”、もっと分かりにくいメッセージになってしまいます。
相手が外国人に変わった場合、発信する自分のメッセージが正確に伝わらないことを予測し、そうならないために緊張感をもって「準備」することが重要になります。具体的には、伝えるメッセージの論理とメッセージ全体の構成をノートやiPadなどの媒体に「書く」ことです。その「準備」の後に発信するのです。書いたメモを「見る」、そして「整理する」という行動の繰り返しが、メッセージの論理と構成を明確にするうえで大変効果的なので、習慣化する価値は十分あります。

3.行動の主体を明確にする
日本人が書く日本語のメールや会話の中で「私は」という主語は通常なかなか登場しません。そのため、相手が外国人のとき、誤解が起きやすくなるのです。「誰が」「誰に」「誰を」など、行動の主体や行動が及ぶ主体を明確に表現することが大切です。さらに、「あなたはどう思いますか?」と外国人に聞かれたら、「うちの会社としては――」ではなく、「私は」で始まる回答をすることが鉄則でもあるのです。

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