経営とビジネスの現場で、日本人の「思考」と「行動」に変化を起こす!「マネジメント実務」に変化を起こす!

コラム

外国人との会議をマネージするための「3つのチャレンジ」

世界で活躍する日本人リーダーの現場行動
~思考と行動をアップグレードする~

第46回
外国人との会議をマネージするための「3つのチャレンジ」

◆「予備の時間」を確保する
通常、典型的な日本人は会議の開始時間が10時の場合、10時きっかりに会議を始めて本題に入ろうとしますが、外国人の場合はどうでしょうか?
外国人にも個人差、国民差があるため時間に厳格な人もいますが、やはり数は少ないです。一般的には、外国人リーダーが主催する会議が開始予定時間にきっかり始まることは、あまりないのが実情です。海外では、会議の開始時間に全員が集まることが習慣的でないことから、通常、優秀な外国人リーダーは時間をうまくコントロールする感覚を身に着けています。具体的には、90分の会議であれば5分から10分程度の「予備の時間」を確保しています。つまり、会議の本題は約80分で終わるように余裕をもって計画しているのです。
グローバル・ビジネスを進めるなかで、日本人が外国人との会議を主催する際には、このような時間感覚を身に着けていくことが大切です。典型的な日本人にとっては大きなチャレンジになりますが、イライラ防止のための得策でもあるのです。

◆待ち時間を温めるための「ネタ」「技」を身に着ける
では、5分から10分「待つ」ときに、会議の主催者であるリーダーはどのような行動をとればよいのでしょうか? その場で“静かに”待つのは30秒が限界でしょう。
リーダーは「待つ時間」を「場を温める時間」に転換させる必要があるのです。
たとえばリーダーが、すでに集まっている人たちに「雑談でもしながら待ちましょう」と言い、自発的に雑談してくれることを期待するのは、偶然に依存する行動なので適切ではありません。リーダー自ら「雑談を起こす」行動を取り、雑談が起きる必然性を高めなければいけません。リーダーは、会議の議題に沿った雑談の話題を提供する、あるいはそのような話題を引き出すための問いかけをする行動を取る必要があるのです。
また、会議が始まるときの少し凍りついた雰囲気を温めるために「アイスブレークゲーム」を用意しておくのも効果的です。会議の話題に沿ったゲームを活用することで、出席者をリラックスさせる状況を作りながら「待つ時間」を過ごすことができるのです。もちろん、本題の一部として活用することも可能です。たとえば、ある問題を解決する「チーム」を創るための会議であれば、「チーム」を仮想体感してもらう「アイスブレークゲーム」は効果的です。
つまりリーダーは、「待つ時間」をすでに集まっている人たちの「頭と心のウオームアップの時間」に転換させるための「ネタ」や「技」を身に着けることが大切なのです。そして自ら笑い、「アイス」を「ブレーク」するのです。

◆会議の時間配分を逆転させ「共有10%、議論90%」に
最後は、出席者の参加意識を高めるためのチャレンジです。特に日本企業の海外拠点での定例会議では重要です。通常、日本人が主催する会議は、「共有90%、議論10%」という時間配分です。共有の時間では、さまざまな部署からの参加者が持ち時間の中で報告や発表を行います。この共有の時間について日本人は大きな違和感を抱きませんが、実は、外国人はそうではないのです。
大企業で働く一般的な日本人は、終身雇用的慣行の下で「就社(=会社に入る)」しています。
入社と同時に、会社のさまざまな仕事に従事することが前提となり、雇用の安定と引き換えに、定期的に辞令を受けて異動を繰り返します。そのため、異なる部署の話を聞きながら知識や情報を増やすことに大きな違和感を抱かないのです。しかし、一般的に外国人は非終身雇用の下で「就職(=職を選んで就く)」しているので、原則、他部署の仕事に関心がなく、その結果、共有の時間には大きな違和感を抱くのです。
 外国人の参加意識を高めるためには、通常の会議での時間配分を逆転させ、「議論90%、共有10%」にすることが得策です。共有事項は原則、サーバー上で管理し、重要事項に絞ってリーダーや担当者が会議で共有する程度でよいです。議論90%に変えると、会議に必要な人は原則、「議論に必要な人」に絞られ、参加者の顔ぶれも自ずと変化するのです。

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