経営とビジネスの現場で、日本人の「思考」と「行動」に変化を起こす!「マネジメント実務」に変化を起こす!

コラム

「時間感覚」を世界仕様にUPGRADE!

世界で活躍する日本人リーダーの現場行動
~思考と行動をアップグレードする~ 
 

「時間感覚」を世界仕様にアップグレードする!

 

ボヤキをなくすための2つの行動

外国人が多数の海外では、日本人として身についている特有の行動習慣の上に、海外で求められる行動習慣をアドオン(=追加)し、それを積み上げながら自分の行動をアップグレードしていくことが大切です。そして、日本人環境と多文化環境に応じて自分の中の行動習慣のスイッチを切り替えて使い分けることができるようになれば、どんな国でもストレスレスに(=ストレス少なく)仕事と生活ができるようになります。

さて、「時間」に関わるイライラを解消するためには、日本人は次の2つの行動を身につけることにチャレンジした方がよいでしょう。ひとつは、時間に関わる許容範囲を広げること。もうひとつは、「形」よりも「内容」をより重視する行動です。今月はひとつ目を来月はふたつ目についてお話します。

時間に関わる許容範囲を広げる

 

1. プライベートでは約30分が目安

外国人にホームパーティーに誘われ、19:00からと言われたら、19:00-19:30に着くように行動するという判断が適切なのです。20代の頃、典型的な日本人で日本人特有の行動習慣しかなかった私が19:00前にきちんと到着すると、まだ誰ひとり来ていないどころか、ホストもまだ準備中で、「先に遠慮せず飲んでいてね」と温かい言葉をかけてもらった経験があります。プロトコール(=儀礼)上は招待された時間の前ではなく後に行った方が良いということを後で知ったのです。もちろん、30分以上遅く来て早く帰る人もいれば、ホストの迷惑も考えず、夜中まで飲んだくれている人もいます。少なくとも案内された時間に皆が一斉に集まり一斉に帰る、というケースはとても少ないといえます。

ホテルのロビーで複数の外国人と食事の待ち合わせをしても、時間通りに皆がきちんと集まることは稀です。遅れてくる人を待っている間、雑談でワイワイガヤガヤし、どのお店に行くか、何を食べるか、あるいは近況などを話し合っているケースが多いでしょう。20分くらいたっても来ない人がいれば、行き先の電話番号やグループの誰かの携帯番号を遅れている人の携帯電話や部屋にメッセージで入れるというような行動をとります。ポイントは、遅れてくる人を真剣に批判し、眉間にしわを寄せて怖い顔になっている人はほとんどいないことです。

ただ、稀ですが、外国人でも時間に厳格な人や、性格的にとてもせっかちな人もいますので、相手が外国人だからといって時間感覚をいつも緩めるのではなく、相手を見て状況判断するというフレキシビリティーも必要でしょう。

2. 職場では10分から15分が目安

会議の開始時間が10:00と伝えても、遅れてくる外国人は絶えません。英語圏なら”from 10:00 at sharp(=10:00きっかり)”と言えば、少し緊張感が高まりますが、”from 10:00”ですと、”around 10:00(=10:00ごろ)”と勝手に解釈する人が多いのが事実です。アジアなどの非英語圏ですと、英語の”at sharp”も、日本語の”きっかり“”ちょうどに“も、そのニュアンスがなかなかうまく伝わりませんし、当該国の言葉でこのような意味の言葉すらない、あるいは、あっても日常的にほとんど使わない、というケースも多いのです。

日本においても多文化環境での会議はありますし、海外では周囲に外国人の数が多い環境での会議が間違いなく増えます。このような環境での会議に外国人であろうと日本人であろうと遅れてくる人がいた場合、私は次の行動をとりながら待つことをアドバイスしています。もちろん、日本人同士の会議の場合は、日本社会での「時間を守らない人は信用が低い」という固定観念を優先してよいと思います。

①   各参加者が雑談を楽しむ

日本人が主催する会議は全員が集まるとすぐに本題に入る傾向が強いです。しかし、多文化環境の会議では、主催者が本題に入る前に上手く「準備の時間」を作ります。なぜなら、異質な人たちが集まっているので融合を試みる必要があるからです。会議となると国籍を問わず誰でも多少の緊張感を持ちます。人によってはかなり緊張します。ですから、少しでも話しやすい雰囲気を作り、心の準備のための時間を作ることが大切なのです。マネジャー会議や部門長会議ですと、日ごろなかなかお互いに話す時間を持つことができない人たちが集まっていることが多いです。このような場合、主催者が参加者の一人の仕事をネタにジョークを飛ばしたり、自分の最近の体験話をすることにより、雑談が始まる「きっかけ」を作ることが大切です。ポイントは、笑いやリラックスをとおして脳が活動し始めるスイッチが入るように導くことです。このような「準備の時間」を「待つ時間」に充てればよいのです。 

②   アイスブレークゲームをする

会議の場では緊張がつきものです。場の空気が凍りついていることもあります。このような空気の中では質の高い会議はできません。従って、主催者はアイスブレーク(=「氷」を「砕く」という意

味)のゲームも自分のネタとして持っておくことが大切です。私の場合、数十種類のネタがありますが、時と場合によって使い分けています。会議の導入になるようなことを楽しくやれば人を待つ時間はそれほど気にならず、しかも、遅れた人が来るころには他の参加者の脳はすっかり動き始めていますので、スムーズに会議の本題にシフトすることができるのです。遅れた人は「準備の時間」には参加できませんが、いつもと違う和やかな雰囲気の中で、自己責任として自分の脳を素早く会議モードに切り替えなければいけません。

③   遅れてくる人の罰ゲームを皆で考える

日本企業で働く外国人に少しでも「時間を守る」ことの大切さを感じてもらうのと同時に、会議の本題に入る前の準備時間としても有効です。罰ゲームですから時間に遅れたことに対するペナルティーです。しかし、本気にペナルティーを科すのは良くありません。例えば、「15秒踊りながら歌ってもらおう!」などのように、あくまでも皆が笑い飛ばせる程度のものがベターです。案外、意外な人からいろんな面白いアイデアが出てきて盛り上がります。通貨価値にもよりますが、100円程度の罰金を科して、3ヵ月に1回くらいの頻度で罰金箱に溜まったお金を原資に会議中にお菓子を出すというのも面白いアイデアのひとつです。遅れてきた人を笑いで迎えるだけでなく、その時点では他の参加者はすでにウオームアップが終わっているというような時間の使い方は日本人の行動習慣にはあまりないので、学ぶ余地が多いと思います。

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